日本食品科学工学会誌
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発酵分解装置を用いた温州みかん搾汁粕のコンポスト化
稲葉 伸也丸山 和之三宅 正起藤尾 雄策
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1996 年 43 巻 11 号 p. 1205-1211

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抄録

大量の温州みかん搾汁粕を短期間にコンポスト化することを目的として,発酵分解装置を開発するとともに,効率的な発酵分解条件の検討を行った.
数種のBacillus stearothermophilusThermus sp.から構成される下水汚泥由来好気性好熱細菌群を温州みかん圧搾粕を含む液体培地および固体培地中で集積培養した後,コンポスト化に供した.コンポスト化は,培養基の初発水分を60%,初発pHを8.0に調整し,無加熱下,開放系で1日1回の攪拌を行うことによって,約2週間で終了した.さらに,得られた生成物の繰り返し利用によって,継続的なコンポスト化処理を実現した.連続した3回のコンポスト化処理の間に,最高品温は60.1~64.2℃を示し,重量および有機物の減少率はそれぞれ30.6~47.1%, 33.8~46.5%となった.コンポスト発酵過程における全窒素の残存率は高く,得られたコンポストの炭素率はいずれも低かった.
また,開発装置を用いた温州みかん搾汁粕のコンポスト化には,種菌として加えた60℃生育菌のみならず,原料に由来する25℃および40℃生育菌の関与が示唆された.

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