日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
n-3系脂肪酸を高度に含む魚油添加飼料給与による豚肉脂質および呈味成分への影響
石田 光晴今野 義博鈴木 啓一小川 ゆう子阿部 博行
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 43 巻 11 号 p. 1219-1226

詳細
抄録

n-3系高度不飽和脂肪酸を高度に含む魚油を肉用豚に投与することによって,その食肉にn-3系脂肪酸がどの程度蓄積するかを明らかにし,さらに,コレステロールおよび呈味成分への影響について検討した.魚油を与えた区および非投与区の肉用豚LWD 36頭の屠殺1日後に第12胸椎に位置する胸最長筋(ロース)を採取し,脂質の性状と呈味成分について比較した.脂肪含量は投与区,非投与区の間に有意差はなかった.コレステロール含量は,魚油を投与した区が添加しなかった区に比べると有意(P<0.05)に低くなった.中性脂質脂肪酸組成では,主な脂肪酸の組成および不飽和度はほとんど差がなかった.極性脂質脂肪酸組成は,魚油を投与した区ではn-3系脂肪酸が非投与区よりも有意(P<0.05)に高く出現し,飼料として高n-3系脂肪酸を肉用豚に投与することによって筋肉脂質に移行することが明らかになった.さらに,n-6/n-3比は,魚油を添加しない区は高く,添加した区は有意(P<0.05)に低下した.呈味成分の総ペプチド,総遊離アミノ酸,イノシン酸の含量は,いずれの区ともほとんど差がなく,食味試験でも魚油やビタミンEを添加しても風味への影響はなく,豚肉の栄養学的改質を計れた.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top