日本食品科学工学会誌
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冷麺用押出し機の機械特性
遠山 良工藤 達之種谷 真一
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1996 年 43 巻 12 号 p. 1256-1263

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抄録

摩擦熱を利用して,生地を加熱する冷麺用押出し機の機械特性および熱特性を検討し次の結果を得た.
1) 押出し機中の生地の粘性は塑性流動を示しf=k(γ)n+f0(f:ずり応力,k:コンシステンシー係数,γ:ずり速度,fn:降伏値,n:流動指数)で示された.コーンスターチ(40~60%)およびバレイショでんぷん(40~60%)配合生地ではk=1.45Pa・sn,fn=15kPa,n=0.4であった.
2) 麺線の膨化率は生地の見掛けの粘性率の増加につれて,減少する傾向が見られた.バレイショでんぷん配合の方がコーンスターチ配合より高い膨化率を得た.また,両配合とも高でんぷん配合(60%)の方が膨化率は高かった.
3) 容積流量はQ=KN(K:定数,N:スクリュ回転数)で表された.Kはコーンスターチ40%で1.52×10-5m3,バレイショでんぷん40%で1.239×10-6,バレイショでんぷん60%で1.084×10-5であった.
4) スクリュ内の容積と流量から求めた見掛けの滞留時間tvと生地がニュートン流体と仮定したときの滞留時間tnはいずれも赤色マーカー法で求めた滞留時間tmより小さく,tm>tn>tvの関係があった.これは生地が準塑性流動することによるものと考えられ,tmはスクリュ回転数200rpmで284s,900rpmで38sであり,回転数の増加につれて減少した.
5) 押出し機の理論エネルギーは,E1=1.801N2ηapで表され,実際のエネルギーは理論エネルギーの約83%であった.
6) 圧力損失から求めた摩擦熱量は,実際の生地の熱量の約70%を占めていた.
7) 押出し機の動力数Npはフルード数Fr,およびレイノルズ数Reの無次積で,つぎのように表すことができた.

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