日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
焙煎ゴマ油の抗酸化成分の相乗作用
福田 靖子小泉 幸道井藤 竜平並木 満夫
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 43 巻 12 号 p. 1272-1277

詳細
抄録

1) 焙煎ゴマ油の濃褐色成分はアンバーライトXAD-7に吸着し,グリセリドを主成分とする非極性の区分と分離することができた.
2) 濃褐色成分をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分画した.酢酸エチル,メタノール溶出区分は褐色,濃褐色を呈し,抗酸化性を示したが,これらの区分にはセサモールやトコフェロールはほとんど検出されなかったので,未知の抗酸化成分の存在が示唆された.
3) 焙煎ゴマ油中の抗酸化物質であるセサモール,トコフェロール,弱い抗酸化性を示したセサミン,2)で分画した酢酸エチルおよびメタノール区分の抗酸化性および相乗作用について重量法で調べた.その結果,酢酸エチルおよびメタノール区分そのものの抗酸化性はそれほど高くなく,また,焙煎ゴマ油に含まれるどの抗酸化物質も単独ではゴマ油の高い抗酸化性には及ぼなかった.
4) 焙煎ゴマ油中の4種の抗酸化成分(セサモール,トコフェロール,セサミン,メタノール溶出区分)をこの油中の含量に相当する量でリノール酸に添加して,相乗作用を検討した.2種ずつを組み合わせるとセサミン+メタノール溶出区分の組み合わせを除いて活性が高まり,特にトコフェロールとの組み合わせで著しく活性が高まった.3種,4種の混合でさらに高い活性が得られ,特に,4種の混合が最も高い抗酸化性を示した.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top