日本食品科学工学会誌
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とろろの殺菌,粘度,褐変に及ぼす高圧処理の影響
玉川 浩司遠藤 好司長田 和也小宮山 美弘
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1996 年 43 巻 2 号 p. 194-202

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抄録

ヤマノイモをすり下ろしたとろろの品質保持を目的として,高圧処理による影響を調査した.
1. とろろの殺菌に対する高圧処理の影響を調査したところ,真菌,グラム陰性菌に対しては20℃, 500MPa以上の加圧処理でほぼ殺菌できた.グラム陽性菌については500MPa以上の加圧処理でも残存し,そのほとんどが芽胞細菌で,加熱と高圧の併用処理においても,その殺菌効果は小さかった.
2. とろろの粘度に及ぼす高圧処理の影響を調べた結果,澱粉への影響は,600MPa以下の加圧処理であれば影響がないことがわかった.また500MPa以上の高圧処理をしたとろろは,無処理と比較して,水抽出液の保存中の粘度低下が抑制された.一方,加熱処理区では澱粉の粘度変化が明らかに認められた.
3. 300MPa以上の加圧処理をしたとろろは,無処理と比較して,保存中の色調変化と褐変度が顕著に抑制された.これはとろろ中のポリフェノールオキシダーゼ活性が加圧により失活したものと推測された.

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