日本食品科学工学会誌
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炊飯条件の異なる各種の米飯粒の修正2バイト4点測定法による食味と関連した物性の検討
中谷 文子辻 昭二郎
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1996 年 43 巻 3 号 p. 238-246

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抄録

輸入米を含めた7種の米の食味と関連する米飯の物性を炊飯条件を変えて測定し解析した.
測定はテンシプレッサーボーイを用いて修正2バイト多重バイト(4つの変形率で測定)試験法による新しい試験法で行った.
(1) 典型的なインディカ米であるタイ米も最適の加水量で電子レンジ加圧炊飯すると,日本型米に近いやわらかい食感の米飯が得られた.これは測定したパラメーターの数字および官能検査でも確かめられた.
(2) 食味が劣るといわれている輸入米の中国米,カリフォルニア米,オーストラリア米も炊飯条件によってはコシヒカリよりもやわらかい米飯が得られ,また,加水量を増加させると食味と関連する物性が大きく改善されることが示された.このことは官能検査でも確かめられた.
(3) 本法独自のパラメーターである,修正2バイト法による第1バイトと第2バイトのプランジャーの仕事量の比も,炊飯条件を変えた各種の米飯の食感の差を比較するのに有用であった.最も食味のよいコシヒカリの米飯はこの比の値が最も小さかった.
(4) 米飯粒の40%と80%バイトのパラメーターを比較すると,米飯粒の表層部と内層部の物性の米質や炊飯条件による変化の差を比較検討できる.
(5) 米の食味品質と関係があるとされるバランス度は加水量が変わると変化した.したがって,バランス度の比較はそれぞれの米の最適の炊飯条件で比較する必要がある.米飯の粘りを改善するため,タイうるち米にタイもち米を半々に混ぜて最適の炊飯条件で炊飯した米飯は,日本産の日本型米に匹敵するやわらかい食感の粘りがある米飯が得られた.この米飯のバランス度をそれぞれの米飯のバランス度から計算するとコシヒカリよりはわずかに低かったが,岡山産の朝日よりは高かった.
(6) 加水量や炊飯方法の異なる米飯の放置にともなう物性変化の差を中国産の日本型米について試験したが,これらの変化も上記の特性値で明瞭に示された.

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