日本食品科学工学会誌
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各種褐藻から抽出されたアルギン酸の化学的性質とナトリウム結合能
受田 浩之飯田 倫子沢村 正義楠瀬 博三
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1996 年 43 巻 5 号 p. 569-574

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抄録

3種類の褐藻,マコンブLaminaria japonica Areschoung,カジメEcklonia cava Kjellman,イソモクSargassum hemiphyllumから次の3種類の酸加水分解処理(0.2N H2SO4), (a): 30℃,16時間,(b): 50℃, 6時間,(c): 100℃,2時間を経てアルギン酸カリウム(K-Alg)を抽出し,それらの収量,化学的性質とin vitroにおけるNaイオン結合能との関係を調べた.
(1) 収量は乾燥重量当たり,マコンブ30~45%,カジメ22~31%,イソモク18~28%で,すべての種において最高収量は(b)の酸処理を行った場合に得られた.
(2) マコンブ,カジメ由来のK-AlgのM/G比は1.0~1.2であるのに対して,イソモク由来のK-Algは0.3~0.4であった.酸加水分解処理により,K-Algの分子量は1.5×104~1.5×105以上の範囲で変化した.
(3) 平衡透析法により上記のK-AlgのNaイオン結合能を測定したところ,M/G比並びに分子量が異なるにもかかわらず,それらのNaイオン結合能に差は認められなかった.従ってK-AlgのNaイオン結合能は,その一次構造に依存していないことが明らかとなった.おわりに,褐藻試料を御供与下さいました高知大学海洋生物教育研究センター・大野正夫教授に深く感謝申し上げます.

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