日本食品科学工学会誌
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担子菌類菌糸体の化学成分組成
吉田 博佐々木 弘子藤本 水石菅原 龍幸
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1996 年 43 巻 6 号 p. 748-755

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抄録

最大生長時に位置する6種の担子菌類菌糸体(アラゲキクラゲ,エノキタケ,マイタケ,クリタケ,ナメコ,ヒラタケ)の一般成分,低分子炭水化物,高分子炭水化物,有機酸,遊離アミノ酸組成について検討した.
(1) 各菌糸体の水分含量は84.8~92.8%であり,乾燥重量当たり,粗タンパク質は19.0~44.4%,粗脂肪は2.6~5.2%,粗灰分は6.1~7.1%,炭水化物は44.6~72.7%であり,菌種によりかなりの差がみられた.
(2) 低分子炭水化物量は1.6~15.5%であり,アラゲキクラゲを除いた5種の菌糸体は12.8~15.5%に分布した.トレハロース,マンニトール,グルコース,フルクトース,アラビトールおよびグリセロールが検出され,主成分はトレハロースとマンニトールであった.
(3) 有機酸量は0.3~1.1%であり,主成分はリンゴ酸,ピログルタミン酸,フマル酸,クエン酸,コハク酸およびイソクエン酸であった.
(4) 高分子炭水化物量は30.2~67.7%であり,各菌糸体ともにグリコーゲンが最も多く,他の5種の多糖成分は菌種により差がみられた.
(5) 遊離アミノ酸量は,1.4~3.1%であり,主成分はアラニン,グルタミン酸,グルタミン,セリン,リジン,ヒスチジン,アルギニンであった.

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