日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
各種魚肉すり身のゲル物性に及ぼす微生物起源トランスグルタミナーゼの影響
微生物起源トランスグルタミナーゼの食品機能特性(第3報)
添田 孝彦酒井 智子渡井口 清一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 43 巻 7 号 p. 787-795

詳細
抄録

8種類の冷凍すり身を用い,坐り条件とMTGaseによるすり身ゲルの物性変化を調べた.
(1) KCl低濃度でのCa2+-ATPase活性はゲル物性から判断してすり身の鮮度をよく表しているといえた.この鮮度とゲル強度は総じて相関がみられた.
(2) 内在性TGase活性はスケトウダラSA,イトヨリダイ,シログチで高く,ミナミダラ,パシフィックホワイティングで低い値を示したが,内在性TGase活性が非常に低レベルにあるためゲル物性との関連はみられなかった.
(3) 冷水域生息魚は総じて低温坐りで,暖水域生息魚は高温坐りで高いゲル物性を発現した.これにMTGaseを添加すると,両水域生息魚とも低温坐りよりも高温坐りでゲル強度と変形率の増加が大であった.
(4) MTGase添加によりG-L結合量は増加した.この結合量はスケトウダラ,ミナミダラ,パシフィックホワイティング,ホキ,イトヨリダイで高く,ハモ,シログチで低かった.
(5) いずれの魚種でも低温坐り並びに高温坐りでMHCの減少が認められた.特に,その減少は高温坐りにおいて大であり,15℃坐りでは5u/g proteinでもMHCバンドは減少するにとどまったのに対し,40℃坐りでは0.5~1.5u/g protein以上でMHCバンドは完全に消失した.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top