日本食品科学工学会誌
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廃鶏肉の硬さに及ぼすコラーゲンの影響
阿部 申平田 明弘木村 貞司山内 邦男
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1996 年 43 巻 7 号 p. 831-834

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抄録

廃鶏肉の硬さと結合組織の主成分であるコラーゲンの関係について調べるために廃鶏肉の総コラーゲン量,熱溶解率,コラーゲンType I, IIIのピリジノリン量を測定し,以下の結果を得た.
(1) 廃鶏の各部位の硬さはブロイラーの各部位より硬かった.また,廃鶏の各部位はブロイラーの各部位と比べて総コラーゲン量は肝臓を除いて増加し,熱溶解率は低下した.以上の結果より,廃鶏肉の硬さにはその総コラーゲン量と熱溶解率とが密接に関係していると考えられる.
(2) 廃鶏の腿肉のコラーゲンType Iの抽出量はブロイラーより低かった.これは加齢により不溶性コラーゲンが増加したため抽出量が減少したと考えられる.一方,廃鶏のコラーゲンType IIIはブロイラーのコラーゲンType IIIに比べ,抽出量にはほとんど変化が見られなかった.これはコラーゲンType IIIがコラーゲンType Iに比べて加齢に伴う成熟架橋を形成しにくいことによるものと考えられる.
(3) ブロイラーの腿肉のコラーゲンType I, IIIからは成熟架橋の一つであるピリジノリンは検出されなかった.一方,廃鶏の腿肉のコラーゲンType Iのピリジノリン含量はType IIIのピリジノリン含量より多かった.以上の結果より,廃鶏の腿肉の硬さにはコラーゲンType IIIよりコラーゲンType Iの質的な変化が関与しているものと考えられる.

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