日本食品科学工学会誌
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近赤外分光法によるイチゴ果汁の糖および酸含量の測定
藤原 孝之本庄 達之助
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1996 年 43 巻 7 号 p. 841-848

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抄録

近赤外法による,イチゴ果汁の全糖含量,Brix値および酸含量の測定精度,試料温度の影響,並びに検量線の採用波長の帰属について検討し,以下の結果を得た.
(1) 試料温度を一定にした場合は,全糖含量,Brix値および酸含量について,SEPがそれぞれ0.09% (w/v), 0.09° Brix,および0.033% (w/v)となる高い測定精度の検量線が得られた.
(2) 温度を変動させた場合は,全糖含量およびBrix値については一定温度の場合とほぼ同等のSEPの検量線が得られたが,酸含量についてはSEPが高くなった.
(3) 試料の糖組成にばらつきがあり,さらに酵素の作用により,実験中に糖組成が変化したにもかかわらず,全糖含量の測定において高い測定精度の検量線が得られた.この理由は,果糖およびブドウ糖がほぼ同量含まれる水溶液は,検量線の採用波長付近にショ糖水溶液と同様の吸収を有すること,および供試したイチゴ搾汁液に含まれる果糖・ブドウ糖の含量がほぼ同じであることであった.
(4) 全糖測定用の複数の検量線で採用された1666nm付近の波長は,酸による吸収を有さない波長であった.

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