日本食品科学工学会誌
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マッシュルームおよび黒緑豆(Mung bean)由来ポリフェノールオキシダーゼによるジフェノール化合物生成
竹内 若子高橋 平八郎小島 峯雄
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1996 年 43 巻 8 号 p. 875-879

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抄録

植物性食品材料におけるPPOのもつ水酸化酵素活性に着目し,ポリフェノール生合成への最初のステップであるモノフェノールからジフェノールヘの水酸化反応に関わる電子供与体について調べた.
1. モノフェノール化合物であるL-チロシンとp-クマル酸を基質とし,PPOの一種であるマッシュルームチロシナーゼによる水酸化反応について各種電子供与体の効果を調べた結果,両基質間で電子供与体の要求性において相違がみいだされた.
2. p-クマル酸を基質としたときには,アミノ化合物が電子供与体として水酸化反応を促進させたが,L-チロシンでは促進効果はみとめられなかった.
3. L-チロシンを基質としてチロシナーゼを作用させたときの反応液中にp-ヒドロキシフェニルピルビン酸とみなされる物質がHPLC上で検出され,LC-MSによる分析からも標品と一致する結果を得た.これよりL-チロシンのアミノ基が電子供与体として働き,o-diphenolが生成するものと推定した.
4. 標準品であるp-ヒドロキシフェールピルビン酸を基質として用いた場合にもp-クマル酸と同様のメカニズムでo-diphenolが生成された.
5. マッシュルームチロシナーゼの代わりに黒緑豆もやしのPPOを用いたときも,マッシュルームチロシナーゼと同様の結果が得られた.

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