日本食品科学工学会誌
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赤紫肉色ジャガイモ塊茎のアントシアニンとその含量
石井 現相森 元幸梅村 芳樹瀧川 重信田原 哲士
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1996 年 43 巻 8 号 p. 887-895

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抄録

ジャガイモの未利用形質を遺伝的に改良して有用物質の含量を高め,新規の付加価値の高い食品素材として開発する目的で,2倍体着色塊茎からアントシアニンを抽出して,色素の化学構造の解析,色価(グラム当たりの色素量)の簡易定量法の確立,色価に及ぼす栽培要因の影響,色価を指標にした系統の評価などを検討し,下記の結果を得た.
(1) アントシアニンの簡易抽出法として1%トリフルオロ酢酸水溶液,Sep-Pak C18カートリッジ及びマイクロ・チューブポンプを組み合わせた循環式連続抽出装置を考案し,塊茎の細断試料に適用する方法を確立し,色価の多点簡易測定が可能となった.
(2) 高アントシアニン含量の育種素材になる2倍体赤及び紫肉色ジャガイモ塊茎について色価の塊茎肥大に伴う消長,色価の株内及び株間変異を測定した.色価は塊茎肥大の初期で高く,後期では低下した.株間の色価の差は無いが,株内の色価の変動係数は40-58%であった.
(3) 赤及び紫肉色塊茎の主要アントシアニンの化学構造は各種クロマトグラフィーにより単離・精製し,機器分析の結果,それぞれ,pelanin, petanin及びpenanin(推定)であることを確認すると共に,pelaninの構造の詳細を初めて明らかにすることができた.

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