日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
ホイップクリームの物性に及ぼす均質処理の影響
野田 正幸山本 晴敬
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1996 年 43 巻 8 号 p. 896-903

詳細
抄録
0~50MPaの範囲の均質圧力がクリームの安定性,ホイップ時間におよぼす影響について検討し,以下の知見を得た.
(1) 均質圧力の増加とともに,脂肪球径が減少して,脂肪球皮膜は壊れにくくなり,乳化安定性は向上した.
(2) ホイップ時間は,均質圧力の増加とともに20MPa以下では増加し20MPaを超えると減少した.低い均質圧力領域では,ホイップドクリームの遊離脂肪量,高い均質圧力領域では脂肪球凝集がホイップドクリームの構造形成に寄与していると考えられる.
(3) 高い均質圧力領域における脂肪球凝集の原因は,脂肪球の形状変化であり,これは脂肪球皮膜物質の不足と脂肪球密充填による変形に起因する.
(4) カゼインを添加して,高い均質圧力領域における脂肪球凝集を抑制するとクリームのホイップ時間が増加した.この結果は,脂肪球凝集がホイップ時間減少の原因であることを支持した.
著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top