日本食品科学工学会誌
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Aspergillus sojaeAspergillus oryzaeを使用した濃ロ醤油の揮発性成分の比較
石原 和夫本間 伸夫松本 伊左尾今井 誠一中沢 信吉岩渕 坦
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1996 年 43 巻 9 号 p. 1063-1074

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抄録

Aspergillus sojae No. 9 (A. sojae) とAspergillus oryzae S-03 (A. oryzae)の二種類の麹菌を使用して,9メーカーによって製造された生及び火入れ濃口醤油中の揮発性成分について比較した.醤油中の揮発性成分の同定はGCおよびGC-MS分析によって行い,また,これら成分の量的な比較はGCピーク面積の分散分析によった.65の化合物が醤油の揮発性成分として同定または推定され,そして,これら化合物のうち,5化合物は醤油中ではじめて確認または推定された.A. sojaeを用いて製造した醤油中の揮発性成分の量はA. oryzaeを用いた醤油のそれよりも多く,更に,揮発性成分量は醤油の加熱によって増加した.醤油揮発性成分のうち,GCピーク面積の大きかった化合物は,ethanol, 2-methyl-1-butanol, 3-methyl-1-butanol, ethyl lactate, acetic acid, 2-phenyl-ethanol等であった.A. sojaeを用いた醤油中に多かった揮発性成分はethyl lactate, acetic acid, pyrazines, phenylacetaldehyde, phenolとmaltolなどであった.一方,A. oryzaeを用いた醤油中に多かった揮発性成分は2-methyl-1-butanol, 3-methyl-1-butanol, 2-phenylethanol, 2-methyl-butanoic acid, 3-methylbutanoic acid, 3-methylthio-1-propanol, 2-ethyl-4-hydroxy-5-methyl-3 (2H)-furanone, 4-ethylguaiacolと4-ethylphenolなどであった.

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