日本食品科学工学会誌
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中空糸膜モジュールを用いた菌体の完全濃縮培養法による食酢の連続生産
玉井 正弘丸子 修門 隆興
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1997 年 44 巻 2 号 p. 119-125

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抄録

酢酸濃度が10%(w/v)の食酢の効率的な連続生産を目的として,中空糸膜モジュールを装着して菌体を発酵槽外に排出しない菌体完全濃縮培養と中空糸膜モジュールを装着しない培養を行い,本法における酢酸生産について評価した.
(1) 中空糸膜モジュールを用いて酢酸菌を発酵槽外に排出させないようして培養することにより,973時間後に菌体濃度は11.27g-dry cell/lに増加した.10%(w/v)濃度の食酢を700hにわたって平均13.Og-aceticacid/(l・h)(膜モジュールを装着していない場合の3.4倍)という高い酢酸生産速度で安定に生産できた.
(2) 酢酸生産は,増殖と維持代謝に伴うものとに分けることができ,その比率は,前者の方が貢献度は高く,培養が安定した200h以降においてそれぞれ69と31%であった.
(3) 菌体増殖が安定した108~708hの間での,増殖可能及び酢酸生産可能菌体量は,それぞれ0.35および1.23g-dry cell/lであり,菌体完全濃縮培養法では酢酸生産に寄与しない菌体を時間の経過と共に発酵槽内に多量に蓄積することが認められた.

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