日本食品科学工学会誌
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スケトウダラ調味乾燥品の呈味成分含量に及ぼす調味液中のソルビトールとスクロースの影響
川崎 賢一舩津 保浩伊藤 裕佳子本江 薫鍋島 弘明
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1997 年 44 巻 3 号 p. 192-198

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抄録

スケトウダラ調味乾燥品の呈味成分含量に及ぼすソルビトールとスクロースの影響を調べた.その結果を以下に示した.
1) 塩漬時間の進行と共に含窒素化合物,遊離アミノ酸,乳酸等の呈味成分が溶出するが,ソルビトールやスクロースはそれらの成分の溶出を抑制する作用があった.
2) 塩漬工程では遊離アミノ酸の中でタウリン,グルタミン酸,グリシン等やジペプチドのアンセリンが塩漬時間の進行と共に溶出するが,ソルビトールやスクロースは程度にこそ差はあるもののこれらの遊離アミノ酸の溶出を抑制した.
3) 塩漬工程では魚肉から調味液への核酸関連成分の溶出抑制に対するソルビトールやスクロースの添加効果が認められたが,イノシン酸はその効果が小さかった.
4) 乾燥工程では製品中に残存している含窒素化合物,遊離アミノ酸,乳酸等はいずれも水分量の減少に伴い濃縮して増加した.
5) 乾燥工程ではいずれの試料も脱リン酸化,脱リボース反応が強く起こり,核酸関連成分はイノシンからヒポキサンチンへ変化するので,いずれの試料もイノシン酸の魚肉中への残存はあまり認められなかった.
6) 塩漬および乾燥工程では製品中の呈味成分含量に対するソルビトールやスクロースの添加効果は認められたが,塩漬工程では前者よりも後者の方がその効果は大きく,乾燥工程では両者に大きな差は認あられなかった.

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