日本食品科学工学会誌
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焙煎大豆粉のタンパク質の消化とトリプシンインヒビター活性に及ぼす粉砕と加熱処理の影響
盛永 宏太郎
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1997 年 44 巻 3 号 p. 219-225

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抄録

丸大豆および大豆粉を焙煎してタンパク質の消化を調べ,次の知見を得た.
(1) 乾燥丸大豆を150℃で10分間以上焙煎すれば,トリプシンのみでダイズタンパク質の約80%を消化することができた.これは水に懸濁した大豆粉を加熱した場合のタンパク質の消化率に匹敵する高い値であることが確認できた.
(2) 丸大豆を180℃で10分間以上焙煎すると,タンパク質の消化率は次第に減少した.これは,基質タンパク質分子中の塩基性アミノ酸が,褐変反応などによって化学変化を受け,このためにトリプシンが作用しにくくなっているためと思われた.
(3) ダイズを粉砕してから焙煎した場合には,150℃で加熱してもTIが失活せず,丸大豆の場合ほどタンパク質の消化がよくならなかった.
(4) ダイズを焙煎してから粉砕するか,粉砕してから焙煎するかによってTIが容易に失活したり,失活しなかったりするということは,TIは本来,不活性体として生大豆組織中に存在していて,細胞破壊を受けた際に活性化すること,また,一旦,活性化したTIは熱安定性を増し150℃程度の焙煎処理では容易に失活しないのではないかと考えられた.

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