日本食品科学工学会誌
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食用花弁に含まれるポリフェノール類含有量と抗酸化活性
立山 千草本間 伸夫並木 和子内山 武夫
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1997 年 44 巻 4 号 p. 290-299

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抄録

95種の花弁(バラ科,ッバキ科,キク科)を凍結乾燥後,酸性の含水メタノールで抽出し,この抽出液についてポリフェノール類の含有量(ポリフェノール含有量,アントシアニン含有量,フラボノール含有量)および抗酸化活性性を調べた.抗酸化性の測定は,リノール酸を基質としたエマルション系に添加し,β-カロテンの退色の防止活性を指標とする試験法で行った.
(1) 科別のポリフェノール量(乾物重量あたりの没食子酸量)の平均は,ッバキ科8.74%,バラ科4.78%,キク科1.66%であった,ポリフェノール含有量が最も高い値を示したのはバラ属の赤色花弁で14.83%であった.
(2) 抗酸化活性は,95種の花弁全てが活性を示し,特にバラ属の赤色花弁の抽出液は,BHA溶液(1mg/100ml)より約10倍強い活性を示した.
(3) 花弁抽出液の抗酸化活性は,ポリフェノール含有量との間に高い相関性が認められ,ポリフェノール類の抗酸化活性への寄与が示唆された.
(4) 抗酸化活性に寄与するポリフェノール類の構成成分は科,属および花色でそれぞれ異なり,バラ属の赤色系花弁ではアントシアニンが,キク科ではフラボノールの寄与が大きいことが認められた.

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