日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
Aeromondsアミノペプチダーゼ及びニュートラーゼ添加によるゴーダチーズの熟成促進
井沢 登和泉 徹治林 清
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 45 巻 2 号 p. 114-121

詳細
抄録

ゴーダチーズの熟成促進効果をAeromonas caviaeT-64が生産するアミノペプチダーゼによって検討した.
(1) ニュートラーゼを直接原料乳に添加して製造したカードは,著しく軟弱なテクスチャーを呈した.これに対し,リポソームに封入したニュートラーゼを添加したカードは,対照チーズと差が認められなかったことから,ニュートラーゼ添加の前処理としてリボソーム封入を行った.
(2) アミノペプチダーゼとニュートラーゼを添加したチーズ(NA)のフレーバーは,熟成8週間後に対照チーズ(C)と比較して有意に強くなった(p<0.05).さらに,NAの風味は熟成12週間後にはニュートラーゼ単独で処理したチーズ(N)よりも有意に強くなったことから(p<0.05),アミノペプチターゼとニュートラーゼによる相乗効果が認められた.酵素処理したチーズのTCA可溶性窒素含量およびSSA可溶性窒素含量は対照チーズよりも高いことから,酵素の作用によって蛋白質の分解が促進され,ペプチドおよびアミノ酸が増加することを確認した.
(3) キャピラリー電気泳動法により,各チーズ中のカゼイン含量を分析したところ,ニュートラーゼの作用でパラ-K-カゼイン(CN),βA1-CNおよびβA2-CNの分解が促進され,熟成12週間後にはこれらのカゼインのそれぞれ,55,85,70%が分解消失することが判明した.
(4) アミノペプチダーゼとニュートラーゼを併用したチーズのSSA可溶性窒素含量は,ニュートラーゼ単独で処理したチーズのそれよりも高いことから,添加したアミノペプチダーゼの作用で遊離アミノ酸含量が増加したことが示された.しかし,これらの酵素添加チーズの遊離アミノ酸組成には,酵素無添加の対照チーズを含めても相違は認められなかった.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top