日本食品科学工学会誌
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日本産米の品種の異なる米の食味特性
大家 千恵子川端 晶子
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1998 年 45 巻 6 号 p. 341-348

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抄録

品質の異なるコシヒカリ,ササニシキ,あきたこまち,高アミロース米,高タンパク米および日本晴の6種類の食味特性を機器測定と官能評価で検討した.その結果は以下の通りである.
1. 飯1粒でのクリープ測定は6要素のフォークト体模型に対応させて解析できた.その結果,炊飯直後のクリープコンプライアンス曲線はコシヒカリ〉あきたこまち〉ササニシキ〉日本晴〉高タンパク米〉高アミロース米の順に高く,コシヒカリが柔らかいことが認められた.
2. 全体に冷凍保存による弾性率と粘性率の変化は少なく,冷凍保存による物性の変化が少ないが,冷蔵保存では弾性率,粘性率共に増加し,冷蔵保存により老化,硬化が進行した.特に高アミロース米では老化が著しい結果であったが,コシヒカリ,あきたこまちは冷蔵保存しても硬化の進行が少ないことが明らかとなった.
3. 分析型官能評価の特徴を因子分析により抽出した結果,第1因子は味と粘り,第2因子は硬さと歯応えなどの食感,第3因子は香りとふっくらさなどの外観に関する因子で,寄与率は各々39.8,36.5,23.7%であった.嗜好型では第1因子は味と形,第2因子は硬さ,粘り,歯応えなどの食感の因子で,寄与率は各々57.6,42.4%であった.
4. 重回帰分析の結果,総合評価に対して最も影響をおよぼした嗜好の評価項目は口当たり,ふっくらさ,後味,粘り,甘味,つや,歯応えの順であった.
5. クリープ測定値と官能評価項目との相関は弾性率と硬さ,歯応えとの間で正の相関が,また弾性率とふっくらさとの間で負の相関があり,いずれも有意の差が認められた.

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