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日本食品科学工学会誌
Vol. 46 (1999) No. 12 P 799-805

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http://doi.org/10.3136/nskkk.46.799


エマルション中でのDHA含有トリアシルグルセロール(TG)の酸化に対する各種タンパク質の阻害作用について検討した.DHA含有TGとしては,DHAを16%含有するTG(DHA 16%)と40%含有するTG(DHA40%)を用いた.また,タンパク質としては,鶏卵アルブミン,ミルクカゼイン,分離大豆タンパク質及び6種願の酵素分解大豆タンパク質を用いた.
カゼインとアルブミンを用いて分散させたDHA 40%を除いて,タンパク質によりDHA含有TGを分散させた方が,Triton X-100を用いるよりも酸化されにくかった.大豆タンパク質分解物は,他のタンパク質よりもDHA含有TGの酸化に対してより高い阻害効果を示し,その効果は分解率の上昇に伴い増大した.大豆タンパク質分解物のDPPHラジカルに対する消去能力も,その分解率に伴って増大したので,大豆タンパク質分解物のDHA含有TG酸化に対する阻害効果は,主として,そのフリーラジカルに対する阻害作用に依存しているものと考えられた,しかし,各大豆タンパク質分解物の阻害程度は,DHA 16%とDHA 40%とで異なっていた.また,分離大豆タンパク質と鶏卵アルブミンのDPPHラジカルに対する消去能力はほとんど同じであったが,両タンパク質のDHA 16%とDHA 40%の酸化に対する阻害効果は大きく異なっていた.こうした効果は,フリーラジカルの消去作用以外に,タンパク質の抗酸化効果を説明する要因があることを示すものである.一般にエマルションにおいてタンパク質は,油滴の周りに膜を形成し,そのために油滴の凝集が防止される.したがって,こうした界面にできたタンパク質膜による,油滴内への脂質酸化促進因子の侵入や拡散の防止が,もっとも可能性の高い要因の一つと思われる.

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