日本食品科学工学会誌
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麦茶の抗酸化性と抗酸化成分
梶本 五郎鬼武 直子奥田 浩子村上 智嘉子
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1999 年 46 巻 2 号 p. 67-74

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抄録

市販のパック入り焙煎大麦の熱水抽出物およびペットポトルと缶入りの麦茶,ならびにそれらの酢酸エチル分画部についてHPLC,TLCで成分の検索を行い,麦茶の抗酸化性はランシマット法とオーブン試験で調べた.
(1) 麦茶の酢酸エチル分画部をHPLCで調べた結果,没食子酸,ヒドロキノン,レゾルシノール,カテコール,2-ヒドロキシ安息香酸,ゲンチシン酸,フェノール,ガロカテキン,エピガロカテキンガレートなどが推定された.
(2) TLCでは,カテコール,没食子酸,ゲンチシン酸,ガロカテキン,エピガロカテキンガレートなどが認められた.各スポット部の抽出物の極大吸収はゲンチシン酸を除いて標準物質の極大吸収と一致した.
(3) 麦茶中にはカテコールが最も多く含まれ,ついで,没食子酸とゲンチシン酸で,ガロカテキンとエピガロカテキンガレートは微量であった.
(4) 麦茶の酢酸エチル分画部は比較的高い抗酸化活性を示した.ポリフェノール類では,ゲンチシン酸が最も高い抗酸化活性を示し,ついで,没食子酸,カテコールの順であった.

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