日本食品科学工学会誌
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食品中のカルシウム,マグネシウムおよびリンの挙動に及ぼす食酢調理の影響
深谷 正裕山田 恵美子高須 綾子塚本 義則古川 勇次
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1999 年 46 巻 2 号 p. 94-98

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抄録

食酢を使用する代表的な調理方法である酢漬けおよび酢煮について,調理における食品材料中のCa,MgおよびPの挙動について検討した.
(1) 酢漬け調理として,酢の物およびワカサギの南蛮漬について検討したところ,食酢によってCaの溶出が促進される場合もあったが,固形部のCa量は減少せず,Mg量およびP量も大きな影響を受けなかった.
(2) 酢煮料理として,骨付き鶏肉(鶏手羽元)の酢煮および殻付きアサリの酸味スープを検討したところ,鶏手羽元の酢煮の煮汁およびアサリの酸味スープのスープのCa量は調理前および対照調理と比べて増加した.Mg量およびP量は,鶏手羽元の酢煮では食酢の影響を受けたが,アサリの酸味スープでは影響を受けなかった.
酢煮はCa摂取量を増大させる方法として有効であることが分かった.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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