日本食品科学工学会誌
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搾油方法の異なるレモン油を用いた飲料の光安定性
沢田 正徳寺西 克倫山田 哲也
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1999 年 46 巻 3 号 p. 181-186

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抄録

(1) citralをクエン酸でpH3に調整した飲料モデル系に添加し,日光暴露したところ,GCにおいて5種類の生成物が認められ,それぞれ1>.photocitral A, 2>.photocitral B, 3>. epi-photocitral A, 4>. 2-(3-methyl-2-cyclopenten-1-yl)-2-methyl propionaldehyde,5>. trans-1, 3, 3-trimethyl-bicyclo [3.1.0]hexane carboxaldehydeと同定された.それぞれの生成物は経時的に増加したが,1,2,3に比べると特に4,5が著しく増加した.
(2) 日光暴露による生成物が多くなるにつれ異臭が強くなり,飲料の官能評価の結果が悪くなった.
(3) 産地および搾油方法の異なる4種類のレモン油を飲料モデル系に添加して前述と同一条件下で日光暴露したところ,どの油でもcitralモデル系とほぼ同様な結果を得たが,官能評価において産地別ではシシリーのレモン油がカリフォルニアに比べて光安定性が良く,搾油方法の異なるシシリーの油では,S-P〓S-S>S-Iの順で光安定性が良かった.
(4) この官能評価の結果は,香りの劣化の主因と考えられる前述の5生成物の総量と一致せず,むしろcitralの残存量に傾向が一致していることから,citralにこれらのオフフレーバーのマスキング効果があり,従ってcitralの残存量がレモン感の維持に寄与していることが分かった.

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