1999 年 46 巻 5 号 p. 352-355
粉砕後に焙煎した大豆と粉砕せずに焙煎した大豆のトリプシン消化阻害,その他を調べて次の所見を得た.
(1) 粉砕後に焙煎した大豆のCL液可溶区分のタンパク質は未加熱大豆に比較して,3分の1量に減少したのに対して,粉砕せずに丸のまま焙煎した大豆は約10分の1量に減少し,前者の加熱不溶化するタンパク質量が少ないことが認められた.
(2) 粉砕後に焙煎した大豆を,カゼインに添加してトリプシン消化したものはカゼインの消化が大きく阻害され,生大豆に酷似する阻害の程度を示した.粉砕せずに焙煎した大豆では,顕著な消化阻害は認められなかった.
(3) 粉砕せずに丸のまま焙煎した大豆は加熱処理によって,TI活性値が20分の1に減少した.しかし,粉砕後に焙煎した大豆では,TI活性値は2~3割減少するだけであり,両者に大きな差異があることが認められた.