日本食品科学工学会誌
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C30カラムによる温州ミカン果汁中のβ-クリプトキサンチン定量法
隅田 孝司浜田 智東 誠広小川 浩史多田 幹郎
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1999 年 46 巻 7 号 p. 467-472

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抄録

温州ミカン果汁中のβ-クリプトキサンチンを高精度かっ迅速に定量することを目的として,C30カラムを接続したHPLCの測定条件及びその供試液の調製方法について検討し,次の結果を得た.
(1) 抽出したカロテノイドをエーテルに分配したのち,等量の10%メタノール性KOH溶液を添加して,20℃,暗所,窒素雰囲気下でケン化処理を行った場合,その反応時間は1時間が適当であった.
(2) β-クリプトキサンチンはC30カラムを通過することにより,回収率が低下することを認めた.しかし,移動相溶媒に0.1% AAを添加することにより,回収率は99%と極めて良好な結果が得られた.
(3) カラム温度を27.5℃に設定することにより,β-クリプトキサンチンの幾何異性体ピークを良好に分離した.
(4) 市販果汁と同様に調製した温州ミカン濃縮還元果汁に含まれるβ-クリプトキサンチン量は1.01mg/100gであったが,わずかにシス異性体も検出され,これらは13-及び13'-cis-β-クリプトキサンチンと推定した.

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