日本食品科学工学会誌
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強酸性電解水の有効塩素濃度がカット野菜の殺菌効果に及ぼす影響
小関 成樹伊藤 和彦
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2000 年 47 巻 12 号 p. 888-898

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抄録

強酸性電解水の殺菌要因であると考えられているACCの測定方法,殺菌効果に与えるACCの影響および殺菌力維持に必要なACCの限界を検討した結果,以下の知見を得た.
(1) 強酸性電解水のACCの測定においてヨウ素滴定法は鉄イオンの影響を受けるため,鉄イオンが混入した場合には正確な測定ができなかった.一方,DPD法は鉄イオンの影響を受けず正確な測定を行うことが可能であった.
(2) カット野菜を対象にした場合,強酸性電解水はACCが低下(0.4ppm程度)しても殺菌効果は低下しなかった.さらにACCを0ppmにしても殺菌効果は低下しなかった.また,強酸性電解水を中和しORPを低下させACCだけを維持させた場合も殺菌効果は低下しなかった.以上のことから,カット野菜を対象にした場合には強酸性電解水の低pHあるいは有効塩素のいずれかが存在することによって殺菌効果が発現することが示された.さらにORPが殺菌に関与していないことが示唆された.
(3) 野菜のホモゲナイズ液の試験結果から,強酸性電解水はACCが低下すると(0.4ppm程度),殺菌力が低下することが示された.また,強酸性電解水を中和しORPを低下させACCだけを維持させた場合も殺菌力は低下した.これらのことから強酸性電解水の殺菌力の主体は低pH下で酸化力を増大した有効塩素であることが示唆された.
(4) 強酸性電解水はACCが20ppmよりも低濃度の場合において殺菌力が低下した.したがって強酸性電解水の強力な殺菌力を維持するために必要なACCは20ppm以上であることが示された.

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