日本食品科学工学会誌
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コウタケ子実体に含まれる抗アレルギー成分の精製
建石 耕一丹羽 智宏島津 誠一郎藤本 導太郎
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2000 年 47 巻 12 号 p. 899-906

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抄録

コウタケ子実体(乾燥)から熱メタノール抽出により低分子化合物や脂溶性物質を抽出除去した.次いでこの残渣から熱水抽出物を得た.この熱水抽出画分を透析して熱水抽出物高分子画分を調製した.この熱水抽出物高分子画分の酸(0.01N HCl)沈殿画分に高いPCA(受身皮膚アナフィラキシー)反応抑制活性を認めた.この沈殿を水に溶解し,0.2M食塩水で塩析し,その上清にPCA反応抑制活性を認めた.次いで,この上清の60%硫安沈殿画分にPCA反応抑制活性を確認した.60%硫安沈殿画分をIRA-68(OH-)カラムクロマトグラフィー及びDowex50W-×4(H+)カラムクロマトグラフィーによってコウタケ子実体100g(乾燥)から175mgのPCA反応抑制成分を精製・単離した.
このようにして得られた成分はゲルロ過カラムクロマトグラフィー及び電気泳動で単一であった.本成分は水に難溶性でアルカリ可溶,酸で沈殿する黒褐色物質である.本成分のIR-スペクトル,吸光曲線,酸化値,相対色度,色調係数,酸及びアルカリ分解によって得られた結果から土壌有機物のアルカリ可溶,酸不溶の画分として得られる土壌腐植酸と類似性の高い物質であることが強く示唆された.

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