日本食品科学工学会誌
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赤色辛口系米味噌における大豆蒸熟と熟成温度が香気成分形成に及ぼす影響
賀来 由夏菅原 悦子高橋 清
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2000 年 47 巻 12 号 p. 919-925

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抄録

赤色辛口系米味噌の製造時における大豆の加熱処理条件と熟成温度の熟成中の香気成分形成への影響を検討した.
(1) 赤色辛口系米味噌の熟成中の香気成分形成には熟成温度による影響は大きかったが大豆の加熱処理条件の影響は少なかった.
(2) 赤色辛口系米味噌の各種香気成分の濃度を合計した値の40∼65%を占め,他の醸造食品にも共通して存在する3-methyl-1-butanolや2-phenylethanolの濃度と味噌の特有香気成分の一つであるmethionolの濃度は全期間を通して熟成温度25°Cでやや高く推移した.
(3) 3-methyl-1-butanol,2-phenylethanol,methionolの熟成中の消長には蛋白溶解率やpHの変動の影響は少なく,醸造に使用した酵母の影響が大きいことが示唆された.
(4) 特有香気成分のHEMFは熟成温度30°Cで形成量が多く,他の主な香気成分の熟成中の消長と大きな差が認められ,独自の生成機構を持つ化合物であると推測された.
(5) 熟成中のHEMFの生成は色調Y(%)の変化と関連があり,Y値で約20%に低下するまでは行われることが示唆された.

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