日本食品科学工学会誌
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ダイコン子葉の黄化時におけるクロロフィル分解系
秋山 裕高橋 千夏山内 直樹
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2000 年 47 巻 4 号 p. 296-301

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抄録

ダイコン子葉の黄化に伴うChl分解過程を検討するため,老化時におけるChl分解物,Chl分解酵素活性および子葉抽出物を用いたChl分解物生成について調査した.
(1) ダイコン子葉の黄化に伴い,Chl aおよびb含量は減少した.Chlide aは25°C貯蔵に伴い増加し,貯蔵2日から減少した.また,Chl a-1は25°C貯蔵に伴い減少した.
(2) 子葉抽出物を用いChl分解系についてみたところ,反応に伴いChlide aの生成が認められ,反応3時間から徐々に減少した.また,Chlide aとほぼ同様の吸収極大値を持ち,極性の高い未知物質が検出され,その物質は反応に伴い増加した.
(3) Chl分解酵素活性について調べたところ,クロロフィラーゼ活性は25°C貯蔵2日に増大し,その後子葉の黄化に伴い減少した.Chl分解ペルオキシダーゼおよびChlオキシダーゼ活性は子葉の黄化に伴い増大した.
以上の結果から,ダイコン子葉のChl分解系として,Chl aからChl a-1への酸化分解とChl aからChlide aへの加水分解が存在すること,さらに25°C貯蔵に伴う子葉の黄化には特に酸化分解系が関与しているものと推察した.

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