日本食品科学工学会誌
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品種の異なる干し椎茸の官能検査と成分組成
干し椎茸の嗜好性に及ぼす品種間差異について(第3報)
春日 敦子前田 浩子渡井 俊之藤原 しのぶ青柳 康夫
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2000 年 47 巻 7 号 p. 529-537

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抄録

日本産原木栽培椎茸5品種と最近市場に大量に出回るようになった多品種の混合と推定される中国産菌床栽培椎茸1種の計6種の1994年,1995年,1997年産干し椎茸について,5°Cの水温で平衡吸水量の90%に達する時間の水戻しを行い,加熱調理後官能検査を実施し,品種の違いによりおいしさに差が認あられるかどうか,日本産原木栽培椎茸と中国産菌床栽培椎茸に差が認められるかどうかを検討した.また前報1)2)で報告した椎茸の成分値と官能検査の評価との関係について検討を加えた.
日本産原木椎茸間では,際立って低い評価のものはなく全体に似通っていたが,品種E,Dなどにいくつかの項目で有意な特徴が認められた.旨味成分が少なく,異味異臭のない淡白な品種でも,総合評価は高かった.中国産菌床栽培椎茸は日本産原木栽培干し椎茸と比較して,多くの項目に有意差が認められ,総合評価はいずれの日本産原木栽培椎茸より有意に低い評価であった.中国産が評価が低い原因は,テクスチャー,香りの評価が低いこと,また苦みが非常に強いことが大きな原因と思われた.
窒素成分やレンチニン酸含量が多い方が必ずしも評価が高いわけではなく,官能検査の項目では苦味,テクスチャーが総合評価にかなりの影響を及ぼしていた.

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