日本食品科学工学会誌
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肥料の違いが野菜の生育および生理活性に及ぼす影響
福家 洋子永田 郁子丸田 里江益永 利久加藤 哲郎上田 浩史
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2000 年 47 巻 9 号 p. 700-707

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抄録

化学肥料・化学+有機肥料・無窒素肥料の3つの施肥条件で栽培されたキャベツ,ダイコンの生育状況,および生理活性に及ぼす影響を検討した.生理活性として,TNF-α産生プライミング効果,肝解毒酵素キノンレダクターゼ誘導活性および培養細胞への影響を検討した.
1) キャベツおよびダイコンの生育状況は,有機肥料(堆肥)を加えることにより,収量が約20%増加し,施肥条件の差が明らかとなった.
2) TNF-α産生プライミング効果はキャベツ試料液の投与により血清1mlあたり12∼13ng(YR錦秋152)および20ng(しずはま2号)のTNF-αを誘導し,明らかなプライミング効果が認められた.ダイコン試料液ではキャベツ試料に比較し低い結果であった.肥料の違いによる有意差は認められなかった.
3) キャベツ試料液は,両品種ともに高いQR誘導活性を示した.しかし肥料施用の違いによる差は認められなかった.
4) キャベツ試料液はIntestine407の細胞増殖を明らかに抑制した.とくに無窒素肥料区の試料で高い増殖抑制が認められた.
TNF-α産生誘導実験にあたりご指導いただきました帝京大学薬学部山崎正利先生に厚く御礼申し上げます.

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