日本食品科学工学会誌
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ハタケシメジのアンジオテンシンI変換酵素阻害活性および抗腫瘍活性
卯川 裕一安藤 雅之古市 幸生苔庵 泰志西井 孝文久松 眞
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2001 年 48 巻 1 号 p. 58-63

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抄録

ハタケシメジ子実体から冷水抽出,エタノール抽出,熱水抽出を行い,それぞれ抽出物(CWE, EE, HWE)を得た.また,エタノール抽出後の残渣を熱水で抽出し,エタノールで多糖を沈殿させた粗多糖画分(CP-1)も調製した.それらをACE阻害活性試験に供したところ,CWE, HWE, EEに阻害活性が認められた.CWE, HWEならびにEEに含まれるACE阻害活性成分がタンパク質であるか否かを調べる目的で,プロナーゼを用いて徹底的にCWE, HWEならびにEEを処理した.分解後のACE阻害活性はいずれも顕著に低下した.これらの結果からACE阻害活性成分としてペプチドが関与していることが示唆された.
また,9種の食用キノコのACE阻害活性を比較したところ,ハタケシメジが最も高く,ヒラタケ,ブナシメジの順であった.さらに,9種の食用キノコの抗腫瘍活性を測定した結果,ハタケシメジ,マイタケ,シイタケの順に活性が高かった.以上の結果,ハタケシメジは,血圧降下作用と抗腫瘍効果を共に期待できる点で他のキノコよりも優れていることが示された.したがって,ハタケシメジを摂取することで,癌や高血圧の予防効果が期待される.

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