日本食品科学工学会誌
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磯茶製造工程におけるクロロフィル色素類含有量およびクロロフィラーゼ活性の変化
木幡 勝則原口 隆文辻 正樹氏原 ともみ堀江 秀樹
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2001 年 48 巻 10 号 p. 744-750

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抄録

(1) Chl (a+a')及びChl (b+b')は碾茶乾燥工程,特に3段目乾燥以降に大きく減少した.Phy (a+a')及びPhy (b+b')は蒸熱後急増したが,その後工程とともに減少した.乾燥工程での高温処理による分解が原因と考えられる.
(2)碾茶荒茶ではChl a'及びChl b'のエピマーの存在率が30及び48%と,煎茶荒茶と比較して高いことが示された.碾茶乾燥工程におけるエピマーの熱安定性に起因するものと推定される.
(3) 各色素類の減少に起因して,総含有量が乾燥工程とともに減少することが,また,Phy (a+a')の減少に起因して,Phy変化率も乾燥工程とともに減少することが明らかとなった.
(4) 碾茶荒茶でのクロロフィラーゼ活性は生葉の約18分の1で,50秒蒸し煎茶荒茶のそれとほぼ同じであった.このことにより,碾茶乾燥工程におけるクロロフィラーゼ活性の低下は比較的大きいことが明らかとなった.
(5) 碾茶荒茶にはPBaは全く含まれておらず,碾茶製造工程においてはクロロフィラーゼは作用できる条件にないことが示唆された.

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