日本食品科学工学会誌
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湿塩法で調製した塩漬肉における微生物叢推移と理化学的変化
山中 洋之秋元 政信金井 聡鮫島 隆有原 圭三伊藤 良
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2001 年 48 巻 11 号 p. 835-839

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抄録

豚ロース肉を8%あるいは16%の食塩を含む塩漬液に浸漬し,0℃あるいは8℃の温度で塩漬して,経時的に微生物叢と理化学的変化を調査した.
(1) 8%の食塩濃度と8℃の塩漬温度で耐塩性菌や乳酸菌,酵母などの好ましい微生物が優勢となり,これらの細菌が微生物叢の安定化に寄与していると考えられた.
(2) 塩漬肉中の食塩濃度は塩漬液の食塩濃度が8%より16%の方が,また塩漬温度は0℃より8℃の方が速く上昇した.しかし,16%の食塩濃度ではハム中の食塩濃度が高くなりすぎることから,塩漬液の食塩濃度は8%の方が好ましいと考えられた.一方,塩漬肉中の亜硝酸根は塩漬液の食塩濃度が8%より16%の方が低くなった.
(3) 総遊離アミノ酸量は塩漬温度が0℃より8℃の方が高くなったが,ATP関連物質や遊離脂肪酸量は塩漬液の食塩濃度や塩漬温度による大きな違いは認められなかった.
(4) 微生物叢と食塩濃度,総遊離アミノ酸の結果から,湿塩漬法では塩漬液の食塩濃度が8%で塩漬温度は8℃が好ましいと考えられた.

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