日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
グロビン-牛血清アルブミン混合物のゲル形成性
宮口 右二矢口 聡志堤 将和
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 48 巻 2 号 p. 87-93

詳細
抄録

と畜血液タンパク質の有効利用を目指し,グロビンに牛血清アルブミン(BSA)を添加したグロビン-BSA混合物の加熱ゲル形成性について検討したところ,以下のような結果が得られた.
(1) グロビン(50mg/ml)単独溶液はゲル化しなかったが,10mg/ml相当のBSAを添加することでゲル化が観察された.また,グロビンおよびBSAをそれぞれ50mg/mlおよび40mg/ml含む混合物の場合,広いpH域(pH 3-9)でゲル化が認められた.
(2) グロビン-BSA混合物(モル比で5/1)ゲルはpH7で最も高い破断強度を示した.また,同混合物ゲルの保水性はpH 3および9で高かった.
(3) グロビンでは2.0% (w/v)以上のNaSCNによってゲル化が強く阻害されたが,BSAでは2.5% (w/v)のNaSCNを添加してもゲル化は完全に阻害されなかった.
(4) グロビン-BSA混合物のゲル強度はNaSCNの影響を受け,pH 7では混合物に1% (w/v)相当のNaSCNを添加することで加熱ゲルの破断強度が高くなった.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top