日本食品科学工学会誌
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インゲン属3種のマメ由来α-アミラーゼインヒビターの精製と性質
澤田 小百合竹田 由里金森 正雄田代 操
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2001 年 48 巻 3 号 p. 182-188

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抄録

インゲン属のオテボウ(Phaseolus vulgaris L.),ムラサキハナマメ,シロハナマメ(何れもPhaseolus coccineus L.)の種子微粉末試料より,水抽出,硫安塩析,DEAE-Sepharoseイオン交換クロマトグラフィー,SephacrylS-200HRゲルろ過によりそれぞれ2種類のタンパク質性のα-アミラーゼインヒビター,OAI-1とOAI-2,MAI-1とMAI-2,SAI-1とSAI-2を精製した.
電気泳動的に均一な標品であるOAI-1,OAI-2,MAI-2,SAI-2について諸性質を調べたところ等電点は,OAI-1が4.6,OAI-2が4.5,MAI-2とSAI-2が4.9であった.何れも分子量は,45000±5000で,13-15%の糖を含む糖タンパク質であった.SDS電気泳動では,分子量約14000-30000の間に,複数本のバンドが認められた.このことより,これらAIはサブユーットから構成されることが示された.アミノ酸組成は,OAI-1,OAI-2,MAI-2,SAI-2共に,アスパラギン酸,セリン,に富み,メチオニンとヒスチジン含量は低かった.また,システインが存在しないことから,これらサブユニット間にはS-S結合以外の相互作用が働いていることが推定された.ブタ膵臓α-アミラーゼに対する阻害能力は,OAI-2, MAI-2, SAI-2共にほぼ同じであったが,OAI-1はそれらよりも弱かった.70℃ (pH 6.9)における熱安定性は,OAI-2, MAI-2, SAI-2が2時間経過後も安定であったのに較べ,OAI-1, MAI-1, SAI-1は不安定であった.

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