日本食品科学工学会誌
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カカオポリフェノールのメチルメルカプタンに対する消臭効果
清水 和正前田 裕一大澤 謙二志村 進角田 正健
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2001 年 48 巻 4 号 p. 238-245

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抄録

カカオニブ,カカオハスクに含まれるポリフェノール成分に着目し,そのメチルメルカプタン(CH3SH)に対する消臭活性評価を行い,以下の知見を得た.
(1) カカオニブ,カカオハスク抽出物ともにCH3SHに対して消臭活性を示し,特にポリフェノール成分を多く含む50%エタノール抽出物(50E)に強い消臭活性がみられた.また各抽出物の消臭活性とポリフェノール含量の間には高い相関性が認められた.
(2) 消臭活性の高いカカオハスク50EをDiaion HP 20を用いて分画し,消臭活性を持つ50E-4画分を得た.その消臭活性は銅クロロフィリンナトリウムよりも強いものであった.
(3) カカオハスクより精製された50E-4画分は,13C-NMR分析およびGPC分析の結果,(-)-epicatechinを主要構成成分とする7-8の高重合度のポリフェノール成分であることが推定された.
(4) プロシアニジン類(単量体-5量体)では,ポリフェノール成分の酸化的重合が進むにつれて消臭活性は高まることが判明した.

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