日本食品科学工学会誌
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キサンタンガムゲル中における動的粘弾性測定及び迅速粘度分析による各種デンプンの糊化温度特性
関根 正裕堀内 久弥
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2001 年 48 巻 5 号 p. 321-327

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抄録

デンプンをキサンタンガム溶液に懸濁させて糊化過程の動的粘弾性挙動を測定するゲル分散動的粘弾性測定(GDVM)及び迅速粘度分析法(RVA)によるデンプンの糊化温度特性を測定し,示差走査熱量分析(DSC)による糊化温度特性と比較した.
1.RVA及びGDVMにおける根茎デンプン,モチ系種子デンプン及び緑豆デンプンの粘弾性の上昇開始温度(Ro及びGo)は,DSC糊化ピーク温度(Tp)付近で検出され,DSC温度特性値と高い相関を示したが,膨潤度の低いウルチ系種子デンプンのRoは,著しく高い温度で検出され,Tpとの関係でも他のデンプンと異なる傾向を示した.高デンプン濃度ほど,Goは低下するが,非常に高濃度では,糊化前の吸水による変化が検出され,Goは,DSC糊化開始温度よりも低下した.
2.粘弾性の最大上昇率温度では,RmTpよりも約10℃,Gmが約5℃高いが,それぞれTpと高い相関を示した.また,Gmには,デンプン濃度による変化も少なく,デンプンの種類による影響もなかった.3.各粘弾性ピーク時温度(Rp及びGp)は,DSC糊化終了温度(Tc)よりかなり高温側にあり,各DSC温度特性値と有意な相関を示すが,ばらつきは大きかった.

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