2001 年 48 巻 9 号 p. 684-687
3つのタイプの渋ガキ,すなわち不完全渋ガキ,完全渋ガキおよび不完全甘ガキで種子数の少ない渋果の果肉切片を用いて,アセトアルデヒド(AA)処理後のタンニンの不溶化の強度を果実熟度との関連において調査した.
(1) 果実発育の3時期に3つのタイプのカキ果実からそれぞれ果肉切片を調製し,AA処理を行ったのち,不溶化したタンニンの特性を比較した.その結果,果実のタイプや熟度にかかわらず,不溶性タンニンはHCl-MeOHによる抽出によってほぼ同様に可溶化した.
(2) このことから,渋ガキ果実の脱渋(タンニンの不溶化)の難易は,果実のタイプや熟度にかかわらず,果肉に蓄積するAAの量の多少によっていることが確かめられた.