日本食品科学工学会誌
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加工ゆばのナイシン添加による加熱殺菌
国正 重乃高野 克己
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2002 年 49 巻 1 号 p. 40-45

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抄録
従来のレトルト殺菌製法の加工ゆば製品では,B. licheniformis胞子を完全に死滅させるために、121℃, F0=4.0以上の過酷な殺菌条件で加熱処理を行っているため,香気成分の分解,蛋白質の物性変化,脂質の酸化促進などさまざま品質劣化が起こる.そこで,加工ゆばの高品質化を図るため,加圧加熱とナイシン添加の併用処理による微生物制御を試み,以下の結果を得た.
(1) ゆばに存在する主流の芽胞形成菌株は,大豆由来によるものと考えられ,B. licheniformisと推定された.
(2) B. licheniformisに対し,ナイシン濃度250μg/mlで完全に生育阻止できることが確認された.
(3) 加圧加熱とナイシン添加の併用による加工ゆばの保存試験を検討した結果,F0値1.0~2.5加熱処理と,ナイシン150~250μg/mlを併用することにより,従来の殺菌温度より低温度条件で細菌胞子を完全に阻害することができた.
(4) 官能検査では,105℃, F0=1.0で殺菌したゆばが,良好な色と食感が得られた.又,ゆばのテクスチャーと調味液の褐変度の品質測定でも105℃, F0=1.0で殺菌したゆばが柔らかく,調味液の褐変度も少ないことが認められた.
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