日本食品科学工学会誌
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北海道産タマネギ長期貯蔵中の品質変化
玉木 雅子鵜飼 光子村田 容常本間 清一
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2002 年 49 巻 10 号 p. 670-678

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抄録

北海道産タマネギ6種について,貯蔵による品種特性の変化を調べた.
(1) 貯蔵中にいずれの品種でも固形分,糖度,平均一球重の変動が認められたが,「蘭太郎」,「さらり」では貯蔵による変動が少なかった.これら2種はピルビン酸生成量あるいはその貯蔵中の増加量が少なく,従来のF1種とは異なる性質を示した.最多に栽培されている「スーパー北もみじ」は,冷蔵貯蔵前の11月はピルビン酸生成量,硬度ともに低値を示したが,12月以降は両者とも急激に上昇した.
(2) ほとんど全てのタマネギは,長期保存中もソテー加工に適する固形分量およびパウダー加工に適する還元糖量を示した.
(3) タマネギの硬度を品種間で比較したが,測定時期(貯蔵期間)により変動し,品種による硬さの位置づけはできなかった.
(4) 鱗茎部分の色彩および遊離糖の組成は貯蔵により変動し,その傾向は淡路産タマネギと類似していた.本研究を行うにあたり,北海道産タマネギの品種についてご指導いただいた北海道立北見農業試験場場長宮浦邦晃氏,ならびに試料タマネギの栽培,採取および選定にご協力いただいた同試験場園芸科科長田中静行氏に深く感謝の意を表します.

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