日本食品科学工学会誌
ベネズエラ産カカオ豆の発酵過程における各種成分の変化
後藤 泰信相原 武志奥山 知子上脇 達也塚田 陽康鵜澤 昌好
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49 巻 (2002) 11 号 p. 731-735

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抄録

ベネズエラ産カカオ豆の6日間の発酵期間における各種成分の変化について検討した.
(1) 一般成分やカフェイン,テオブロミン,ポリフェノール成分は,発酵期間の前半で減少傾向(酸度及び脂質は増加傾向)を示し,発酵期間の後半では変化しなかった.カカオ豆の呈味性に関与する主な成分は4日目までに変化が終了していることが推察される.
(2) カカオ豆の色調は発酵により,淡い紫色から発酵の経過と共に赤褐色が強くなる傾向を示したが,4日目以降の色調は変化しなかった.
(3) DPPHラジカル消去能が発酵期間の前半で低下していることから,高い抗酸化能を有する(-)-エピカテキンをはじめとするポリフェノール成分が減少していることを示している.しかし4日目以降は(-)-エピカテキン含量,DPPHラジカル消去能は変化しなかった.
(4) カカオ豆に比較的多く含まれる6種類のピラジン化合物は未発酵試料では僅かに含まれているが,3日目まで大きく変化しなかった.発酵の3日目から4日目にかけて2, 3, 5, 6-tetramethyl pyrazineの値が著しく増加し,更に6日目まで日毎に増加し,発酵前と比較すると発酵後では約8倍に増加した.
ベネズエラ産カカオ豆の発酵期間の後半は,カカオ香気の形成に重要な物質であるピラジン化合物を生成し,カカオの風味を豊かにするための重要な期間であると考えられる.

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