日本食品科学工学会誌
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ガス環境制御によるホウレンソウの呼吸特性と品質保持効果
水上 裕造齋藤 高弘志賀 徹
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2002 年 49 巻 12 号 p. 794-800

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抄録

葉菜類に対するCA貯蔵の可能性を検討するたあ,鮮度低下の激しいホウレンソウの呼吸特性と品質変化について実験を行い,ガス制御によるホウレンソウの貯蔵効果を明らかにした.
1) ホウレンソウは,CO2濃度が0%から5%では02濃度の低下およびCO2濃度の増加の両要因でCO2排出速度は抑制され,CO2濃度が5%から15%ではCO2濃度の増加でCO2排出速度は抑制されず,O2濃度の低下が主要因でCO2排出速度が抑制された.
2) 呼吸の質的変化を判断する基準となる呼吸商はCO20%, 3%および5%においてO2濃度にかかわらず1付近の値をとり,呼吸が正常に行われた.しかしCO210%と15%において呼吸商は1とはならず,呼吸の異常が認められた.
3) 最も還元型アスコルビン酸が保持されたガス組成はCO23%にO22%を加えた試験区であった.CO20%,10%および15%では還元型アスコルビン酸の保持効果は認められず,特に高いO2条件ほど還元型アスコルビン酸の減少が大きかった.CO23%と5%においてO2濃度を低下させることにより,還元型アスコルビン酸の高い保持効果が得られた.
4) 鮮度低下の激しいホウレンソウは10℃でも適切なガス制御を行うことで20日間以上の貯蔵が可能である.

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