日本食品科学工学会誌
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卵料理および加工品中の塩溶性オボムコイド量から求めたアレルゲン活性
小澤 慶子加藤 保子
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2002 年 49 巻 3 号 p. 145-154

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抄録

1. 各種卵料理及び卵加工品19種類を調製し,これらの試料から塩溶性タンパク質をPBS抽出し,SDS-PAGE及びimmunoblottingパターンより塩溶性OMの検出を行った.更に,マウス抗OM血清を用いた競争阻害ELISA法で卵料理中の塩溶性OM量を求めた.
2. 各卵料理及び卵加工品への卵添加量,塩溶性OM量及び1回の摂取量からこれらのアルゲン活性の強弱表を作成した.
3. 卵焼きなど卵のみを用いた卵料理では,塩溶性OM量の減少は極めてわずかであった.しかし,130℃で5分揚げた固めの揚げ卵では,塩溶性OMが生卵の約1/100に減少した.
4. 希釈卵液使用卵料理では,加熱温度や時間にかかわらず塩溶性OM量は生卵と全く同じであった.
5. 片栗粉添加の卵ボーロでは塩溶性OMがほとんど減少しなかったが,薄力粉を添加したクッキーでは,塩溶性OMが約1/100に減少した.
6. 薄力粉を添加したドーナッ,カステラ,クッキー及びホットケーキの塩溶性OM量は顕著に減少し,小麦粉の共存下で高温加熱することは,塩溶性OMを減少させる要因となった.
7. 今回作成したアレルゲン強弱表における卵料理や加工品の位置づけは,鶏卵主要アレルゲンである塩溶性OMを指標としたものであり,従来の「アレルゲン強弱表」と異なったものとなった.

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