2002 年 49 巻 7 号 p. 454-461
本実験では,「しろね茶豆」を利用したVIPSの実証実験を行うことで,既存の流通機構の変更なく,消費者が農産物情報を容易に取り出し,生産者とのコミュニケーションが可能になることを示した.同時に,携帯端末の普及をはじめとしたネットワークアクセス環境の改善や,消費者の食の安全に対する意識向上とともに,農産物情報に対する関心が増したことが確認された.また,掲示板やアンケートによって得られる消費者のVIPSに対する評価は肯定的であり,生産者にとっても消費者の意見が直接得られることは興味深いとの評価を得た.今後の情報化社会を踏まえ,生産者と消費者との関係や農産物流通の改善に,VIPSが有効な手段になり得ることが明らかになった.