日本食品科学工学会誌
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乾熱処理および湿熱処理がキビ粉の物理特性に及ぼす影響
改質キビ粉の加工特性(第1報)
篠田 和雄高橋 徹金 哲三浦 靖小林 昭一
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2002 年 49 巻 7 号 p. 491-499

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抄録

食品素材としてあまり利用されていなかったキビ粉を改質するたあに,キビ穀粒への乾熱処理,誘電加熱処理,湿熱処理などの物理処理がキビ粉の諸特性に及ぼす影響を検討した.
(1) 乾熱処理を施すとキビ粉粒子の多分散度は増加し,湿熱処理を施すと減少する傾向にあった.
(2) 無処理のキビ粉はa*が-4.5, b*が20.1,白度が-18.0と黄色みをおびているが,物理処理を施すと白度が18-43へと増加した.
(3) 乾熱処理および誘電加熱処理は処理温度が高く,処理時間が長くなるほど損傷デンプン含量を減少させ,湿熱処理は増加させた.
(4) いずれのキビ粉もA型のX線回折図を示した.湿熱処理はピーク強度を若干減少させた.
(5) 無処理キビ粉も物理処理キビ粉も糊化開始温度は73-75℃の範囲内にあった.湿熱処理はデンプンの糊化終了温度と糊化に伴うエンタルピー変化を増加させた.
(6) いずれの物理処理でもキビ粉分散液の加熱時の最高粘度,最低粘度,最終粘度,ブレークダウン,セットバックを増加させた.乾熱処理および誘電加熱処理は処理温度の高さ,処理時間の長さに比例してキビ粉分散液の加熱時の最高粘度を増加させた.これらはキビに内在するアミラーゼが物理処理により失活することに起因すると考えられた.

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