日本食品科学工学会誌
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発芽玄米の2軸エクストルージョンによる食品素材化
発芽玄米の新用途開発に関する研究(第1報)
鈴木 啓太郎岡留 博司奥西 智哉中村 澄子大坪 研一
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2003 年 50 巻 10 号 p. 474-482

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抄録

機能性成分含量を高めた発芽玄米を原料とした2軸エクストルーダーによる膨化処理を行い,新しい素材の開発を試みた.得られた結果は以下の通りである.
(1) 膨化原料とした発芽玄米は浸漬法により30°C,72時間の発芽処理後,15°Cの強制除湿条件下で水分を13%から15%の範囲に調整した.この発芽玄米は精米および玄米に比べ,GABA,総食物繊維および総フェルラ酸含量などの成分が増加した.
(2) 2軸エクストルーダーによる発芽玄米の膨化条件は,原料供給速度100g/min,バレル温度150°C,圧力6.0MPaで,破断強度が45.0Nの良好なスナック様食感の膨化物が得られた.
(3) 膨化発芽玄米は未膨化の精米と比べて,オリザノール,イノシトール,総フェルラ酸,食物繊維を多く含有していた.またビール酵母を10%添加して膨化処理した発芽玄米の場合,GABA,グリシン,アラニン,アスパラギン酸,グルタミン酸などの遊離アミノ酸を精米や玄米だけでなく,発芽玄米の各膨化物よりも多く含有していた.
(4) 発芽玄米の膨化物粉末は比容1.8ml/g,平均粒子径132.3μm,粒子径200μm以下の比率84%の粒度分布であり,未膨化の玄米粉末と比べて微粒子粉砕性が高かった.各膨化物粉末は液体と混合時の混和性が良好であった.
(5) 発芽玄米の膨化物粉末を30%配合したパンは小麦粉パンに比べ,GABAおよび遊離糖,特にマルトースを多く含有していた.パネルテストの結果,発芽玄米膨化物配合パンは甘味(P<0.05)があり,小麦粉パンと同等(P<0.05)の総合評価が得られた.

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