日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
粳米澱粉の糊化に及ぼすカルシウム剤およびマグネシウム剤の影響
森高 初恵石原 三妃松本 孝飯野 久和木村 修一
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 50 巻 11 号 p. 517-522

詳細
抄録

粳米澱粉の糊化に及ぼすカルシウム剤・マグネシウム剤の影響を超高感度示差走査熱量計,X線回折装置および動的粘弾性装置を用いて測定した.その結果を以下に要約する.
(1) 粳米澱粉のDSC曲線で検知される2つの吸熱ピークは,炭酸カルシウムの添加により高温側のピークはブロードとなり,水酸化カルシウムの添加では低温側ピークは若干高温側にシフトし,高温側ピークは消失した.塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムの添加では,低温側ピークは高温側に移動し,硫酸マグネシウムでは高温側ピークも高温側に移動した.
(2) 炭酸カルシウム,水酸化カルシウム,塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウム添加糊化粳米澱粉のX線回折パターンは,粳米澱粉単独と同様に回折線のないなだらかな山型の回折パターンであった.
(3) 糊化粳米澱粉分散液の貯蔵弾性率は,水酸化カルシウムの0.5%までの添加で低下し,1.0%の添加で大きく増加したが,他の塩添加では顕著な差が認められなかった.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top